視覚障害者の思い(白杖を持って微笑む女性)

コロナ禍の今、駅での出来事

 木川友江さん(全盲)

通勤途中、忘れ物に気づき、普段降りたことのない駅で降りた時のこと。戻るために反対側のホームへの階段を探すものの、なかなか見つからない。

すると、「どちらに行かれますか?」と、親切に声をかけてくださった女性が。

反対側のホームまで行きたいと伝えると、「こちらです。」と、わたしと歩き出しました。

「こっち、こっち」とか、「あ、もう少し右」とか、「はい、そのまま進んで」とか、何度も声をかけてくださるけれど、私からはずっと離れたまま。

 

以前なら、「恐れ入りますが、右腕につかまらせていただけますか?」とお願いできたのですが、今の状況ではそれができないのだと、改めて気づきました。

 

 

木川友江さん

全盲の私にとって、人に近づくことができないことは、なんとも心もとなく、寂しいことです。

でも、こうして声をかけていただけるだけでも、反対側のホームまで、一人で歩くよりはずっと早く辿り着くことができます。

 

手を引いていただけなくても、声をかけてくださる方は、どうか減らないで欲しいと、祈るような思いの私です。

 

※ 木川友江さんは、2019年のオンキョー点字作文コンクールで優勝された方です。受賞作は下記のリンクからお読みいただけます。とても心温まる文章ですので、よろしければ皆様もぜひお読み下さい。

 

【オンキョー点字作文コンクール】

 国内の部 最優秀オーツキ賞 「かけがえのない出会いをありがとう」 


声かけをためらわないで

 佐木 理人(さき あやと)さん

~転落経験者の思い~

大学生だった1995年、大阪市営地下鉄・天王寺駅で、白い杖を使ってホームを歩いている途中、動き始めた電車に接触し、線路脇に転落。電車に16メートル引きずられ、頭と手足に大怪我を負い一年近く入院しました。

電車に引きずられながら、もうろうとした意識の中で、「もうだめだ」と死を覚悟しました。

その一方で、電車と接触する直前にすれ違った人たちから、何の声もかけてもらえなかったことが、たまらなくむなしかった・・・。

近年、ホームドアや転落防止柵のある駅は着実に増えていますが、全駅設置の道のりは険しいと言わざるを得ません。

そうした現状で、白い杖や盲導犬の使用者にとって何よりありがたいのが、周囲からの声かけです。 

正面を向いて、少し微笑んだ佐木さんの写真。佐木さんはスーツを着ています。

「声をかけるのは迷惑では」と、ためらう方もいるでしょう。

しかし私は「お手伝いしましょうか」という声かけに、何度も助けられました。 

皆さんからのひと言が、命を救うかもしれないことを、ぜひ知っていただきたいのです。